延原太郎左衛門

備前守護代浦上基景の家臣。太郎左衛門尉を称した。延原氏は備前和気郡延原を苗字の地とする小領主で、吉井川中流域の佐伯庄(岡山県佐伯町）一帯を支配していた。

延徳元年(1488)九月十六日、守護赤松政則が山名政豊を破って備前奪還を果たした。これに伴い、以前備前守護代を務めていた浦上基景の被官として、太郎左衛門は備前赤坂郡軽部庄(岡山県赤坂町）に入部している(蔭涼軒日録）。すでに戦国前期の段階で延原氏が浦上氏に臣従していたことを示す、貴重な情報である。

なお、『備前文明乱記』には文明十五年(1483)の福岡籠城衆の一人として「延原八郎左衛門」という人物が挙げられている。太郎左衛門の近親者と思われ、やはり浦上基景に仕えていたものと考えられるが、詳細はわからない。